「もう少し、頑張りたいんだ。」
彼にそう告げた日のことを、今でもよく覚えている。
30歳の秋。私は広告代理店で働く営業プランナーとして、初めて大きなプロジェクトを任されたばかりだった。
彼は3歳年上のSE。穏やかで誠実、私にとって“理想の結婚相手”だった。付き合って4年目、プロポーズの言葉をもらったとき、うれしさと同時に胸の奥がざわついた。
——このまま結婚して、私は後悔しないだろうか。
成功したい自分と、幸せになりたい自分
社会人になってからの私は、仕事に夢中だった。
プレゼンで結果を出すたびに、自分の存在価値を確認するように「もっと上を目指したい」と思っていた。
でも、彼はいつも言った。
「そんなに頑張らなくてもいいよ。俺が支えるから。」
優しい言葉なのに、なぜか少し息苦しかった。
「支えられる私」ではなく、「自分で立っていたい私」が心の奥にいたのだ。
結婚=幸せ、という一般的な方程式が、自分にはどうしても当てはまらない気がしていた。
“普通の幸せ”に感じた違和感
周りの友人たちは次々と結婚し、SNSにはウェディングフォトが並ぶ。
焦りもあった。でも、心のどこかで「私も早くしなきゃ」とは思えなかった。
休日に彼と家具を見に行ったとき、私は何気なくつぶやいた。
「こういう“普通の暮らし”って、素敵だね。」
その瞬間、どこか自分が“他人の人生を演じている”ような感覚になった。
彼と歩く未来を想像しても、心の中は静まり返ったままだった。
ACS個性診断で見えた「私の本音」
そんなとき、同僚にすすめられて受けたのがACS個性診断だった。
「発想パターン」を12個の尺度から分析するツールで、仕事だけでなく人間関係や人生設計にも活かせるという。
結果を見たとき、思わず笑ってしまった。
私のタイプは「挑戦・成長・達成」を重視する“革新型”。
安定よりも変化を求め、同じ場所に留まるとストレスを感じやすいタイプだった。
——ああ、やっぱり。
私が結婚をためらっていたのは、彼が悪いわけでも、愛が足りないわけでもなかった。
「安定」という価値観が、私の人生軸とは違っていただけだったのだ。
決断の夜、涙のあとに残ったもの
彼と別れを決めた夜、私は泣いた。
「本当は、結婚したいと思ってたのに……」
そうつぶやいたとき、胸の奥から別の声が聞こえた。
——“でも、もっと自分を生きたいんでしょ?”
泣きながら笑った。
ようやく「誰かのため」ではなく「自分のため」に決断できた気がした。
その後の私が見つけた“幸せの形”
あれから3年。私は今も独身で、広告会社でチームリーダーをしている。
仕事は忙しいけれど、やりがいがある。
休日は趣味の写真撮影を楽しみ、友人たちとカフェで語り合う時間が好きだ。
ふとした瞬間に、あのときの彼の笑顔を思い出すこともある。
でも、「あのときの選択が間違いだった」と思ったことは一度もない。
むしろ、彼と出会ったからこそ、自分の価値観を深く知ることができたのだと思う。
迷いを整理する“自己理解”の大切さ
結婚を選ぶか、選ばないか。
どちらが正解かは人それぞれだ。
けれど、「なぜ迷っているのか」を知ることは誰にとっても必要だと思う。
私はACS個性診断で、自分の“迷いの正体”を言葉にできた。
それだけで、心が少し軽くなった。
結婚を迷っているあなたへ。
まずは「自分が本当に望んでいる幸せ」を知るところから始めてみてほしい。
きっと、あなたらしい答えが見えてくるはず。
結婚を“手放す”ことは、幸せを諦めることじゃない
あの日、私は結婚を手放したけれど、人生の自由を手に入れた。
“仕事を選んだ”のではなく、“自分を選んだ”のだと、今では思う。
もし今、あなたが結婚を迷っているなら、
それは「まだ自分を知る途中」なのかもしれない。
ACS個性診断は、そんな迷いの整理にぴったりのツール。
あなたの価値観を客観的に可視化してくれるから、
「なぜ迷うのか」「何を大切にしたいのか」がクリアになります。
人生の分かれ道で、自分らしい選択をしたいと思うなら。
まずは、自分という地図を手に入れてください。
その先の人生は、きっともっと穏やかで自由になるはずです。