親の結婚は、“幸せの形”のお手本だったはずなのに
私の両親は、誰が見ても理想的な夫婦だった。
父は堅実で優しく、母は明るく家庭的。
小さい頃、周りから「あなたの家、仲良しでいいね」と言われるたびに、
私は誇らしかった。
けれど大人になるにつれ、
その「理想の家庭」が、母の我慢と努力の上に成り立っていたことに気づいた。
母はいつも笑っていたけれど、
その笑顔の裏に、ため息を隠していた。
父に意見を言うことも少なく、「お父さんが決めたなら、それでいい」と言っていた。
そんな母を見て育った私は、
「結婚とは、相手に合わせること」だと信じて疑わなかった。
“結婚=幸せ”という思い込みが、私を縛っていた
20代後半になると、親戚や友人から「そろそろ結婚は?」と言われるようになった。
正直、焦りもあった。
「周りが結婚していくのに、私だけ取り残されてる」——そんな不安。
だから私は、“いい人を見つけて早く結婚しなきゃ”と必死だった。
恋愛も、「好き」より「条件」を優先していたと思う。
安定した仕事、家族に紹介できる人柄、将来の見通し——
そうやって頭で選んだ相手とは、心がすれ違うのも早かった。
気づけば、何度も同じ失敗を繰り返していた。
「私は恋愛が下手なんだ」「幸せになる力がないんだ」と自分を責め続けていた。
ある日、母がこぼしたひと言で心が揺れた
そんなある日、実家で母とお茶をしていると、
ふとした瞬間に母がこんなことをつぶやいた。
「お母さんね、本当は仕事続けたかったの。
でも、お父さんが“家を守ってほしい”って言ったから。」
その声は、どこか懐かしいようで、切なかった。
母は悪くない。
でも、私はその言葉を聞いて、胸の奥がズキンと痛んだ。
——ああ、私も“誰かに合わせて生きること”を幸せだと思い込んでたんだ。
そのとき、初めて「結婚」に疑問を持った。
“結婚しなきゃ幸せになれない”って、本当にそうだろうか?
ACS個性診断で見つけた「私の生き方の軸」
答えを探すように受けたのが、ACS個性診断だった。
診断結果は「創造型」。
人の期待よりも、自分の好奇心や成長を優先するタイプらしい。
レポートの一文が、心に深く響いた。
「あなたは“自分の道を歩む自由”を何より大切にします。
誰かの人生に合わせすぎると、息苦しさを感じやすい傾向があります。」
思わず涙が出た。
私はずっと、母のように“支える側”でいなければと思っていた。
でも本当は、“自分の人生を切り拓く側”でいたかったのだ。
“結婚しない=孤独”じゃない
ACS個性診断をきっかけに、
私は「幸せ」の定義を自分で作り直した。
結婚する・しないにかかわらず、
大切なのは「自分がどんな状態で心地いいか」を知ること。
ひとりで暮らす今、
静かな夜に好きな音楽を聴きながらワインを飲む時間が幸せだと感じる。
休日は気の合う友人たちと過ごし、
仕事では自分のアイデアが形になる喜びを味わう。
——この充実感は、誰かに与えられたものではない。
私が“自分を選び直した”結果だ。
“結婚しない幸せ”を選んだ理由
もし昔の私に「なぜ結婚しないの?」と聞かれたら、
こう答えると思う。
「結婚をしないんじゃなくて、“今の私”が一番幸せだから。」
私にとって結婚は、ゴールでも逃避でもない。
一つの“選択肢”に過ぎない。
そして、その選択肢の外にも、たくさんの幸せがある。
親世代の“守る幸せ”から、
私たち世代の“創る幸せ”へ。
時代とともに、幸せの形も変わっていいのだと思う。
自分の幸せは、自分で定義していい
母のように家庭を支える人生も素晴らしい。
でも私は、母とは違う道を選んでもいい。
ACS個性診断で自分の特性を知ったことで、
「私が間違っていた」のではなく、
「合っていない生き方をしていただけ」だと気づけた。
結婚という枠に自分を押し込むのではなく、
自分という存在を中心に人生を描いていく。
それが、私にとっての“結婚しない幸せ”だ。