婚約破棄から始まった、私の再出発
結婚式まであと1か月。
招待状も送り、ドレスも決まっていた。
そんなとき、彼が突然言った。
「やっぱり、結婚はできない。」
その言葉の意味を理解するまで、数秒かかった。
その夜、私は泣き疲れて、気づけば朝になっていた。
理想のはずだった、私たちの未来
彼とは職場の同期。
お互いに30代に入ってから真剣交際を始め、1年で婚約した。
性格は違うけれど、価値観は合っていると思っていた。
私は几帳面で計画的。
彼はマイペースで、どちらかというと楽観的だった。
私が段取りを決め、彼がそれに「うん」と笑ってついてくる。
そんな関係が心地よかった——少なくとも、私はそう思っていた。
でも今にして思えば、私は彼を「私の理想に合わせよう」としていたのかもしれない。
「私の何がいけなかったの?」という思考のループ
婚約破棄のあと、私は長いあいだその問いを自分に投げ続けた。
「私が悪かったの?」
「何か我慢させてた?」
彼は最後まで理由をはっきりとは言わなかった。
「きっと君はいい奥さんになる。でも、今の僕じゃ受け止めきれない。」
彼の優しさが、余計につらかった。
私は“完璧な女性”でいようと頑張ってきたのに、結局、それが重荷になっていたのだ。
仕事にも身が入らず、体重も落ちた。
「このまま私は、壊れてしまうのかもしれない」と思った。
自分の“癖”を知ることから始まった回復
そんなとき、同僚に言われた。
「真奈美さん、ACS個性診断やってみたら? 自分の“思考の傾向”がわかるから、気持ち整理できるかも。」
半信半疑で受けてみると、結果は「調和型」。
人の気持ちに敏感で、相手を喜ばせることで安心するタイプだという。
そして、診断結果にはこんな言葉が。
「あなたは“人に合わせすぎる”傾向があります。
無意識のうちに、相手の理想を生きてしまうことも。」
胸に刺さる言葉だった。
まさに私の恋愛そのものだった。
「彼のために」と思っていたことが、いつの間にか「彼の望む私になること」になっていたのだ。
“愛されたい”から“自分を愛したい”へ
診断結果を読みながら、私は初めて気づいた。
自分がどれだけ「嫌われないように」生きてきたかに。
でも、それは「私らしさ」を置き去りにする生き方でもあった。
愛されるために無理をしても、結局は苦しくなる。
私は、自分の感情よりも“相手にとっての正解”を優先してきたのだ。
そこから少しずつ、日常を立て直していった。
朝のカフェ時間を取り戻し、好きだったピアノも再開した。
“誰かの妻になる準備”ではなく、“自分を生きる練習”を始めたのだ。
「幸せ」の定義を、自分で決めていい
半年ほど経った頃、友人にこう言われた。
「なんだか最近、顔つき変わったね。なんかスッキリしてる。」
その言葉が嬉しかった。
私は失恋で失ったのではなく、“自分を取り戻した”のかもしれない。
もう「結婚できなかった私」ではなく、
「自分を知った私」として生きていこう。
今も、結婚にまったく興味がないわけではない。
ただ、誰かと生きることを“ゴール”にはしていない。
一人でも、ちゃんと幸せでいられる自分でいたい。
ACS個性診断がくれた「心の地図」
あのとき、ACS個性診断に出会わなければ、
私はきっと今も「どうして私だけ幸せになれないの」と責め続けていたと思う。
自分の個性を理解することは、
“他人のせい”でも“自分のせい”でもない世界を知ること。
相性や価値観の違いを、冷静に見つめられるようになった。
今では、恋愛も仕事も、「私に合う形」を意識して選べるようになった。
無理に“完璧”を目指さなくてもいい。
私は、私のペースで幸せになればいいのだ。
壊れた未来の先に、自由な人生があった
婚約破棄のあの日、世界が終わったと思った。
でも、終わったのは“他人の期待で生きる私”だった。
人生はいつだって、やり直せる。
むしろ一度壊れたからこそ、本当の自分と向き合える。
もし今、過去の恋愛や失敗で心が止まっているなら——
それは、“次の自分”が生まれるサインかもしれない。
ACS個性診断は、その一歩を照らす光になる。
自分の個性を知ることで、
「どうしてうまくいかなかったのか」「これからどう生きたいのか」が見えてくる。
人生の再出発は、過去を忘れることではなく、
“自分を思い出すこと”から始まるのだ。